
こんにちは「BICYCLE INFO」です
パワーメーターを初めて使うと、「200Wってどのくらい?」「FTPって何?」「TSSやNPって何の数字?」と戸惑いますよね?
私自身も初めてパワーメーターを使ったときは、表示される数字の意味がよく分かりませんでした。
この記事では、パワーメーター初心者に向けて、W(ワット)やFTP、NP、TSS、VO2maxなど、最初に知っておきたい用語をできるだけ簡単に解説します。
「数字の意味が分からない」という方も、まずはこの記事で基本を押さえてみてください。
パワー(W)とは
・パワー(Power)
自転車で「どれくらいの力でペダルを回しているか」を数字で表したものです。単位はW(ワット)です。
例えば「200W」と表示されていたら、その瞬間に自分が約200Wの出力を出しているという意味です。
ざっくり言えば、Wの数字が大きいほど、その瞬間に強くペダルを踏んでいると考えればOKです。
ただし「Wが高い=必ず速い」というわけではありません。体重、勾配、空気抵抗、路面状況などによって、同じ200Wでも走る速度は変わりますので!
心拍数は「身体がどれくらい頑張っているか」を見る数字なのに対して、パワーは「自転車にどれくらいの出力を加えているか」を見る数字、と考えると分かりやすいです。
平均パワー
走行中に出したパワーを平均した数字です。
例えば1時間走って平均200Wだった場合、その1時間のラップ平均パワーは200Wです。サイクルコンピューターでは、区間ごとの平均パワーを「ラップ平均パワー」として表示します。
ただし、実際には100Wで走っている時間と300Wで走っている時間が混ざっているため、平均パワーだけでは「どれくらいきつかったか」を正確に表せない場合があります。
3秒平均パワー
パワーメーターの表示でよく見かけるのが3秒平均パワーです。
・パワーはペダリングによって細かく上下するため、瞬間的な数字を表示すると数字が激しく変動します。
そこで直近3秒間のパワーを平均して表示することで、数字を見やすくします。
ヒルクライムでは、瞬間的なパワーよりも3秒平均などを見ながら走ると「今、踏みすぎていないか」を判断しやすくなります。
10秒・30秒平均パワー
3秒平均よりもさらに数字の変動を抑えたい場合に使います。
数字が安定する一方で、実際のパワー変化に対して表示が少し遅れてついてきます。
初心者なら、まずは3秒平均パワーを使ってみるのがおすすめです。
FTPとは
FTP(Functional Threshold Power)は、一般的に「約1時間維持できる最大平均パワー」を表す指標です。
例えばFTPが200Wなら、200W前後を1時間維持できる能力がある、という目安になります。
ただし、例えばFTPが200Wなら、「200Wを1時間必ず維持できる」という意味ではありません。「現在の自分が、1時間程度維持できる最大に近いパワーが約200W」と考えると分かりやすいでしょう。
FTPは何に使う?
FTPが分かると、自分にとって「楽な強度」「ややきつい強度」「かなりきつい強度」などを設定しやすくなります。
例えばFTPが200Wなら、「150Wで走る」「180Wで走る」「220Wで走る」といった具合に、自分の能力を基準にトレーニング強度を決められますのでプランも立てやすいですよね。
FTPは変化する
FTPは固定された数字でなく、トレーニングを続けて体力が向上すればFTPも上がります。
逆に疲労がたまっていたり、しばらく自転車に乗っていなかったりすると低下することもあります。
そのため、FTPは「今の自分はどのくらい走れるのか」を確認するための基準値と考えると分かりやすいでしょう。
自分のFTPを知るには
FTPを知るには、実際に自分がどのくらいのパワーを維持できるのかを測定する必要があります。
その代表的な方法のひとつが「20分テスト」です。
20分テストでは、十分にウォーミングアップしたあと、20分間できるだけ一定のペースで、最後まで走り切れるギリギリのパワーを出します。
20分テストでは、20分間の全力に近い平均パワーを測定し、その95%をFTPの推定値として使う方法が一般的です。
なぜ20分の数字をそのままFTPにしないかというと、20分なら1時間より高いパワーを出せるからです。
つまり、
20分間なら250W出せる
↓
1時間程度維持できるパワーはそれより低い
↓
その目安として95%を使う
という考え方です。
例えば20分間の平均パワーが200Wだった場合
200W × 0.95 = 190W
となり、FTPの目安は190Wとなります。
ただし、20分間を全力で走る必要があるため、初心者にとってはかなりきついテストです。また、ウォーミングアップや走る場所、体調などによって結果も変わります。
そのため、初めてパワーメーターを使う人は、無理に20分テストを行わなくても構いません。
まずは普段のライドでパワーを確認しながら走り、パワーメーターに少し慣れてからFTPを測定するのでもいいかと思います。
FTPはどう活用する?
FTPが分かると、自分のFTPを基準にしてトレーニングの強度を設定できます。
例えばFTPが200Wなら、160WはFTPの80%、180Wなら90%です。
「今日はFTPの70%くらいで走ろう」「この区間はFTPの90%程度で頑張ってみよう」というように、感覚だけではなく数字を基準にして走れるようになります。
また、FTPを定期的に測定すれば、トレーニングによって自分のパワーがどう変化したのかを確認することもできます。
ただし、FTPは「自転車選手としての強さを決める絶対的な数字」ではありません。体重によっても意味が変わるため、ヒルクライムでは後述する「パワーウェイトレシオ」も重要になります。
パワーウェイトレシオとは
パワーウェイトレシオ(PWR)は、体重1kgあたりどれくらいのパワーを出せるかを表した数字です。
「FTP ÷ 体重」で計算します。
・例えばFTPが200Wで体重が70kgなら、200W ÷ 70kg = 約2.86W/kgとなります。
同じ200Wを出せる人でも、体重60kgなら約3.33W/kg、80kgなら2.5W/kgです。
日本の自転車界隈では「○倍」と表現することもあり、例えば2.86W/kgを「2.86倍」と呼ぶことがあります。
特にヒルクライムでは、重力に逆らって坂を上るため、単純なFTPだけでなく「体重に対してどれくらいのパワーを出せるか」が重要になります。
そのため、峠やヒルクライムを楽しむ人にとっては、FTPと合わせて覚えておきたい用語です。

パワーゾーンとは
パワーゾーンとは、FTPを基準にして現在のパワーがどの程度の強度なのかを段階的に分けたものです。
・ここでいうゾーンは、パワーメーターで計測する「パワー(W)」を基準にしています。
・心拍数(BPM)を基準にした「心拍ゾーン」とは別のものです。
・一般的にはZ1からZ6、またはZ7までの複数のゾーンに分けて考えます。
・低いゾーンほど軽い運動、高いゾーンほど高強度の運動になります。
例えばZ2は比較的低い強度で長時間走る持久走、Z4はFTP付近の高めの強度、Z5はVO2max付近の非常に高い強度、といったイメージです。
ただし、ゾーンの数や境界となるパワーには複数の方式があるため、使用しているサイクルコンピューターやトレーニングサービスによって多少異なります。
慣れないうちは、最初から細かなゾーンを覚える必要はありません。
まずは「自分のFTPを基準にして、今どのくらいの強度で走っているのかを見る」という考え方だけ覚えれば十分ではないでしょうか。
NPとは
・NP(Normalized Power/標準化パワー)は、簡単に言うと、「そのライドが実際にはどれくらいきつかったのか」をパワーの変動も考慮して表した数字です。
・例えば、ずっと200Wで走った場合と、100Wと300Wを激しく繰り返して平均200Wになった場合では、同じ平均パワーでも身体への負担は同じではありません。
・NPは、こうしたパワーの上下動を考慮して計算されます。
・そのため、平均パワーだけでは分かりにくい走行のきつさを判断するための指標として使われます。
・NPは計算方法が少し複雑なので、慣れるまではは「平均パワーよりも、実際の負荷を反映しやすい数字」と覚えておけば十分です。
IFとは
IF(Intensity Factor/強度係数)は、簡単に言えば、「そのライドを自分のFTPに対してどのくらいの強度で走ったか」を表す数字です。
FTPを1.0とした場合、IFが0.70ならFTPの70%程度、0.90ならFTPの90%程度の強度だった、と考えられます。
例えばFTPが200Wの人がIF 0.75程度のライドをした場合、比較的余裕を持った強度で走ったということですね。
逆にIFが高くなるほど、FTPに近い強度で走ったことになります。
ただし、IFはFTPが正しく設定されていることが前提です。
TSSとは
TSS(Training Stress Score)は、簡単に言うと、「そのライドで身体にどれくらいのトレーニング負荷がかかったか」を数字で表したものです。
・走った時間が長く、強度が高いほどTSSは大きくなります。
・例えば短時間だけ非常に激しく走った場合と、長時間ゆっくり走った場合では、どちらも身体に負荷がかかりますが、その負荷のかかり方は違います。
・TSSは、こうした「強度」と「時間」を組み合わせてトレーニング負荷を数値化します。
最初は、まず「TSSが高い=その日のトレーニング負荷が大きかった」と覚えておけばいいと思います。
TSSは何に使う?
TSSを記録していくと、「昨日かなり頑張ったから今日は軽く走ろう」といった判断がしやすくなります。
何週間、何か月と記録していけば、自分がどの程度のトレーニング量なら無理なく続けられるのかも見えてきます。
VO2maxとは
VO2max(最大酸素摂取量)は、運動中に身体が取り込んで利用できる酸素の最大量を表す指標です。
簡単に言えば、「どれくらい高い強度の運動を続けられる能力があるか」を考えるときの重要な指標です。
・一般的には「ml/kg/min」という単位で表されます。
・数字が高いほど、有酸素運動を高いレベルで行える能力が高いと考えられます。
FTPとの違い
FTPとVO2maxは似ているようで、別のものです。
・FTPは「自転車でどのくらいのパワーを持続できるか」を見る指標です。
・VO2maxは「身体が最大でどのくらい酸素を利用できるか」を見る指標です。
そのため、VO2maxが高いから必ずFTPも高い、という単純な関係ではありません。
左右バランスとは
左右バランスは、ペダリングで右脚と左脚がどのくらいパワーを出しているかを見る指標です。
・例えば「左49%・右51%」なら、左右ほぼ均等にパワーを出しているということになります。
ただし、左右差があるからといって、必ずしも問題があるわけではありません。
人間の身体は完全な左右対称ではないため、多少の左右差があるのは珍しいことではありません。
初心者の場合は、まず「自分の左右差はどのくらいなのか」を知るところから始めれば十分です。
COOSPO パワーメーターS10の場合
COOSPO S10の計測仕様
メーカーの説明によると、クランクが1回転する間の角度ごとのトルク(力)の分布から算出しています。右足・左足がそれぞれ主に力を出す区間の変化を検知し、左右のパワーを推測・計算する仕組みです。
ケイデンスとは
ケイデンス(Cadence)は、1分間にクランクを何回転させているかを表す数字で、単位はrpmで表します。
・例えば90rpmなら、クランクを1分間に90回転させていることになります。
パワーとケイデンスは別の数字ですが、両方を見ることで「重いギアを力強く踏んでいるのか」「軽いギアを速く回しているのか」といったペダリングの特徴が分かります。
パワーメーターを使う場合、パワー・ケイデンス・心拍数を一緒に見ると、自分の走りをより理解しやすくなると思いますよ。
通常、ケイデンスセンサーはパワーメーターに内蔵されているので、今までクランク等に装着していたケイデンスセンサーは必要なくなるメリットもありますね!
パワーメーターの種類
パワーメーターは、どこにセンサーを搭載しているかによって、いくつかのタイプに分けられ、代表的なのが、スパイダー型、クランク型、ペダル型です。
同じパワーを測定する機器でも、取り付け場所や測定方法、バイクを交換したときの使いやすさなどに違いがあります。
クランク型
クランク型は、クランクアームなどにパワーセンサーを搭載するタイプです。
・クランクに力が加わったときのわずかな変形などをセンサーで検知して、ペダリングによって発生したパワーを測定します。
・製品によって、片側のクランクだけで測定するタイプと、左右それぞれを測定できるタイプがあります。
・片側測定タイプの場合、片側のパワーをもとに左右のパワーを推定しているため、左右の脚の力に大きな差がある場合は注意が必要です。
・一方、左右それぞれを測定するタイプでは、左右のパワーを個別に確認できるため、左右バランスなどを詳しく見ることができます。
・クランク型のメリットは、ペダルを交換する必要がなく、普段使っているクランクをベースにパワーメーターを導入できる製品があることです。
スパイダー型
クランクの中心部にある「スパイダー」と呼ばれる部分にパワーセンサーを搭載するタイプです。
・スパイダー型は、パワーメーター本体だけを交換すればよいとは限らず、クランクやチェーンリングとの取り付け規格を確認する必要があります。また、クランクを交換する場合は、スピンドル径とBBの規格が合っているかも確認が必要です。)
・今回使用しているCOOSPO パワーメーターS10もスパイダー型です。(シマノクランクを使用しているなら、チタン製スピンドル24mm径と同様)
・スパイダー型はクランク交換と同時にパワーメーターを導入できるセット製品も多く、今回のように「クランクを軽量化しながらパワーメーターも導入したい」という場合にも適しています。
私が実際に使用しているCOOSPO パワーメーターS10については、取り付けから重量比較までこちらの記事で詳しく紹介しています。
これはパワーメーター+カーボンクランク+チタンシャフトですから驚くべき価格です!
ペダル型
ペダル型は、ペダルそのものにパワーセンサーを内蔵したタイプです。
ペダルを交換するだけでパワーメーターを導入できるため、クランクを交換したくない人には大きなメリットがあります。
また、ペダルを別のロードバイクに付け替えるだけで同じパワーメーターを使えるため、複数の自転車を所有している人にも便利です。
左右のペダルにそれぞれセンサーを搭載したモデルでは、左右のパワーを個別に測定できるものもあります。
一方で、ペダルそのものを交換することになるため、使用しているシューズやクリートとの互換性などを確認する必要があります。
Faveroはパワーメーターの精度に定評がありますが、価格もそれなりにします。
最初はこれだけでOKかな!
最初から全部覚える必要はありません。
・まずは「W=今どれくらいの力で走っているか」。
・次に「FTP=自分の現在の基準となるパワー」。
・そして「3秒平均パワー=数字を見やすくしたもの」。
この3つを理解するだけでも、パワーメーターの画面がかなり分かりやすくなります。
その後、走りながらNP、IF、TSS、VO2maxなどを少しずつ覚えていけば十分です。
私もパワーメーターを使うのは初めてだったのですが、しばらく使いたおして少しずつ理解してきました!
ヒルクライムに限らずペース配分(パワーの使い方)がわかることは大きなメリットになることは間違いない機材ですね!




